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「秘密のケンミンSHOW(毎週木曜日、21時00分~54分放送)」2010年5月6日(木)の放送でのこと。番組後半の「ローカルビジネスサテライト」のコーナーで「とんとん拍子で大ブレイク!岡山グルメ界のニューフェイス」で「豚蒲重」が紹介されていました。

〇街角でのインタビュー

男性A「うまいです! ハマリます!」
男性B「店の前通ると・・・つい入りたくなる。」
男性C「なんとも言えない良い匂いが・・・プ~ンと来て。」
女性A「すごい発想だと思いますね。」
男性D「ボリューム満点です。お腹一杯になります。「食ったぞ!」という感じです。」

ランチ時には、お店の外まで長蛇の列ができる程の人気ぶり。そのお客さんたちのお目当てが・・・岡山グルメ界のニューフェイスとして注目されている「豚蒲重」。

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「秘密のケンミンSHOW」(2010年5月6日放送より引用)

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「秘密のケンミンSHOW」(2010年5月6日放送より引用)

そして、その「豚蒲重」を提供しているお店が「豚蒲焼専門店 かばくろ」

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「秘密のケンミンSHOW」(2010年5月6日放送より引用)

住所、岡山県岡山市南区大福134
営業時間、11:00~20:00
人気メニュー
豚蒲重 500円
豚蒲重(上)700円
豚蒲重定食 700円

※ここには以前「かぶき御免「真栄田」(まえだ)」(岡山市表町)の系列店「沖縄的食堂 ちゃちゃぶー 大福店」(岡山県岡山市南区大福134)が営業していました。2010年2月、新たに「豚蒲焼専門店 かばくろ」として開店したものです。

〇「豚蒲重」誕生のルーツとは!?

その注目すべき「豚蒲重」のルーツは・・・ご主人の前田泰宏さんが経営する岡山市内の割烹料理店「かぶき御免 真栄田(まえだ)」にありました。

「かぶき御免 真栄田(まえだ)」
住所、岡山県岡山市表町1-2-30
営業時間、ランチ営業(11:30~14:30)、17:30~22:00

※お店のHPには「5月中旬より、豚蒲焼地方発送致します。近日公開」との記載があります。

ランチタイムメニューとして評判だった「豚かば焼き丼」を「もっと多くの人たちに手軽に食べてもらいたい。」という想いから誕生したものでした。
 今回、ランチタイムのみで提供していた「豚かば焼き丼(600円)」「豚のかば焼き丼定食(800円)」が大好評だったことから「沖縄的食堂 ちゃちゃぶー 大福店」(岡山県岡山市南区大福134)を「豚蒲焼専門店 かばくろ」としてリニューアルしてのオープンだったようです。
 もちろん「かぶき御免 真栄田」には「うな重(並)1,200円」などのメニューも充実しています。
 まさに「豚蒲重」は、豚肉をウナギのように「蒲焼き」にしてしまった新発想のお重だったのです。そのウナギさながらの香りも手伝って、その美味しさがクチコミで広まり幅広い世代から支持されるようになりました。
 
女性B「ウナギでしょ!これは!!」

しかし、なぜ豚肉を「蒲焼き」に? ご主人にお話を伺ってみると・・・

前田さん「やっぱり。ウナギの味って、みんな好きなんで、それを安く提供できるように豚肉でお店を作りました。ウナギと見間違えていただける方が、結構、多くいらっしゃるんで、それは、もう、僕の狙い通りという事で・・・。」

主役となるのは・・・やはり「豚バラ肉」。これを厚めにスライスしたら、それをさらに中央から切れ目を入れます。

前田さん「開いて焼くのが蒲焼きだからです。」

ヒットの法則①「あくまでも蒲焼き」

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「秘密のケンミンSHOW」(2010年5月6日放送より引用)

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「秘密のケンミンSHOW」(2010年5月6日放送より引用)

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「秘密のケンミンSHOW」(2010年5月6日放送より引用)

ウナギの白焼きのように余分な脂を落とします。

ヒットの法則②「ウナギの骨で旨味をプラス」

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「秘密のケンミンSHOW」(2010年5月6日放送より引用)

醤油ベースの甘辛タレに焼いたウナギの骨をプラスしてウナギの風味を引き出しているようです。

男性E「食感も本当プリプリですね。表面の皮が香ばしくて・・・。」
女性C「焼いたウナギの皮みたいなのが、豚肉の表面でも同じように調理されていて・・・ウナギ!?って本当に思いました!」
男性F「炙ってるから脂も落ちてる。どっちかというとアッサリ系で・・・おいしいですよ!」
女性D「一週間に2回ぐらいは食べても・・・どうってことないと思う。・・・食べれると思いますよ。」

2010年2月に「豚蒲焼の専門店」として開店してから、僅か3ヶ月ながら、毎日、およそ100人前、多い日には150人前以上の売り上げがあるといいます。

N「さらに、ご主人曰く、豚蒲重のスピンオフプロジェクトが密かに進行中とのこと。」

前田さん「豚蒲重は無限の可能性を秘めていますので・・・。」

N「あの名古屋名物「ひつまぶし」からインスパイヤーされ「豚蒲重」を細かく切って盛りつけた「ひつまぶし」ならぬ「ひつま豚」を試作中とのことです。岡山名物「黄にら」をのせ新名物として登場する日も近いことでしょう。」

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「秘密のケンミンSHOW」(2010年5月6日放送より引用)

 今回、全国ネットで放送中の「秘密のケンミンSHOW(日本テレビ系)」で、紹介されたことから、一気にブレイクするのではないでしょうか。
 ご主人の発想もさることながら「豚蒲重」ヒットの背景には、岡山県民の「蒲焼き」を容易に受け入れる土壌があったようです。
 それは、岡山県(備前)は江戸の昔からウナギの産地として有名で、特に児島湾産の「アオ鰻」は「備前のアオ鰻」として古くから高級食材として上方(関西)で好まれていたようです。
 その特徴として干潟に生息している「穴蝦蛄(アナジャコ)」を主食とし、その身は脂が乗っているにもかかわらず癖のない味わいで高級天然鰻として有名だったようです。
 ですから鰻の産地として、当然のごとく「蒲焼き」という調理方法が地元の人たちに定着していたわけです。

〇「青江のアオ(青江うなぎ)(アオウナギ)」

「資料①『岡山県大百科事典 上』によれば、青江うなぎとは、岡山市の米倉川下流で獲れるウナギのこととある。岡山市青江付近で獲れるというのではなく、旧藩時代からこの一体のウナギの漁業権が青江の漁民にあったことから、この名が付いたと説明がある。また、八浜ウナギなども、「備前ウナギ」の最良品とされてきたが、なかでも頭が小さく腹が豊かで、緑がかった青い背のものが味がよいとされ、青江のものは「青江のアオ」と呼ばれて業者間でも最上品とされた。」

「資料②『岡山の味風土記』には、日本一の岡山のウナギ「青江鰻」が最上品である理由や日本一を決めた品評会の話、岡山県令であった高崎五六が全国に広めた話など青江うなぎに関する様々な話を載せている。」

「資料③~⑤の本山荻舟の著書にも青江うなぎのことが昔から大阪の市場で幅をきかせた上級品として紹介されている。」

資料①「岡山県大百科事典編集委員会、山陽新聞出版局企画編集『岡山県大百科事典 上巻』山陽新聞社,昭和54年,参照はp29」
資料②「岡長平著『岡山の味風土記』日本文教出版,昭和61年,参照はp62-82」
資料③「本山荻舟著『飲食辞典』平凡社,昭和33年,参照はp57-61」
資料④「本山荻舟著『日本食養道』実業之日本社,昭和13年,参照はp353-362」
資料⑤「本山荻舟著『飲食日本史』青蛙房,昭和31年,参照はp241-245」

※(「国立国会図書館ウェブサイト、「レファレンス協同データベース」より引用)

 現在、この「豚蒲重」という商品は、岡山県内(特にお店のある岡山市内)だけの局地的なヒットに留まっていますが、近い将来、全国的なヒット商品になる要素は多分にあると思います。
 それは、和食のなかで「ウナギの蒲焼き」は定番商品として人気があり、昔からの風習で「土用の丑の日」には、好んで食されスタミナ源としても認知度は高いからです。
 しかし、「ウナギの蒲焼」は、今でこそ外国産の安い商品もありますが、それでも国内産の商品は高価で、今のように節約志向の消費者からしてみると高嶺の花ということになります。
 また、ウナギのような淡水魚の独特な風味が苦手な方も多く、家庭の食卓では、調理が簡単な「豚の蒲焼き」の方が好まれるかもしれません。
 ですから・・・もしかすると「土用の丑の日」に「ウナギの蒲焼き」ならぬ「豚の蒲焼き」が、新たな商品として登場してくるかもしれません。
 近い将来、スーパーマーケットの店頭に豚バラ肉をウナギの蒲焼きと同じ厚さにカットして串打ちした「豚の蒲焼き」が登場しているかも!?

 栄養面でも「ウナギ」と「豚肉」には共通するものがあります。豚肉に含まれる「ビタミンB1」をはじめ、その他のビタミン類は疲労回復に良いといわれています。ウナギの栄養素の「DHA(ドコサヘキサエン酸)」「EPA(エイコサペンタエン酸)」「ビタミンA」「ビタミンB1」「ビタミンB2」「ビタミンE」も、また疲労回復に良いとされています。
 
 今回、局地的トレンドとして紹介されたことにより、思わぬビジネスチャンスが到来する可能性もあります。コンビニやスーパーなど販売商品に閉塞感がある現況では、展開次第では、もしかすると思わぬ救世主になるかも?
 現在のコンビニやスーパーなどのお弁当商品は、男性客用のボリュームのあるスタミナ満点の商品に関しては充実しています。
 しかし、男性客向けのスタミナがありそうなメニューでは、女性としては量やカロリーなど気になる点があります。この「豚蒲焼き」を使ったお弁当でしたら量やカロリーに抵抗のある女性にも受け入れられるかも?担当者の方々、お弁当の商品化よろしくお願いします。

 最後に、ご家庭でも手軽に調理できる調味料がありますので、ご紹介します。
ウナギの蒲焼きみたいに「串打ち」して調理することは中々できませんが、手軽に調理して「蒲焼き風」を味わってみてください。

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日本食研「豚バラ蒲焼丼のたれ 210g」

※このコラムは「秘密のケンミンSHOW(日本テレビ系)」で放送された内容をもとに再構成しています。また、日本古来の伝統料理「ウナギの蒲焼き」を否定しているものではありません。


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