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2010.09.15
「静岡県出身者が東京で食べたい静岡グルメとは!?」
「めざましどようび(フジテレビ系)」(2010年9月11日(土)放送)
めざましテレビの名物コーナー「ココ調」(7時12分~7寺23分放送)から
「東京では知られていない地元だけの人気グルメ」
今回は静岡県にスポットを当てていました。静岡と言えばB級グルメの宝庫として、毎年、開催されている「B-1グランプリ(2006年2月より)」などで「富士宮やきそば」が第1回、第2回大会を連覇するなど、今やその知名度は全国区となっています。(その他にも「静岡おでん」「浜松餃子」などが有名です。)
そんな中、番組では「東京でも食べたい大人気グルメとは!?」ということで、「ココ調」リポーターの立本信吾アナが調査に向います。
題して「シリーズ 地元だけ人気グルメ~静岡編~」
まずは、都内の街頭で都内在住の静岡県出身者100人に聞いた「地元の大人気グルメ は!?」
若い男性A「清水のもつカレーとか・・・おいしいと思いますよ。」
若い男性B「はんぺんフライだよね。やっぱり。」
若い女性A「さくら棒は定番です。」
静岡県出身者100人に聞いたところ・・・東京で食べたい静岡のグルメは?
1位「さくら棒」
2位「黒はんぺんフライ」
3位「もつカレー」
※都内在住 静岡県出身者100人アンケート
という結果に。
※3位「もつカレー」2位「黒はんぺんフライ」の部分は省略いたします。
〇街頭インタビュー
若い男性C「食べ切れないでお姉ちゃんに半分にして・・・はい。」
女性「うちでも売ってます駄菓子屋だから。」
街頭での「さくら棒」を知っていますか?」という質問に、
東京 「知らない 99%」「知っている 1%」※都内100人アンケート
静岡 「知っている 83%」「知らない 17%」※静岡県内100人アンケート
という結果が。
ということで立本信吾アナが向ったのは静岡県内の駄菓子問屋さん。
「駒形屋」(静岡県三島市東本町1-9-6)
応対してくれたのは、社長の駒形さん。
立本アナ「さくら棒はありますか?」
駒形社長「はい。・・・こちらです。」
立本アナ「あ!?これ!?ながっ!こんなに長いんですか?」
「さくら棒 400円」
N「実は「さくら棒」とはピンク色をした長い麩菓子のことなんです。一体、どれだけ長いのかといいますと・・・。」
立本アナ「80cmあります。・・・いただきます。」
「さくら棒」に噛り付く立本アナ。
立本アナ「中がフワフワなんですよ。非常に軽くてですね。食べたあとに甘さが広がりますね。口の中に。」
N「黒糖を使った一般的な麩菓子と違って、とてもド派手な「さくら棒」。一体、なぜこんな色をしているんでしょうか?」
駒形社長「沖縄からお砂糖(黒糖)が来てたんだけど、戦争でお砂糖が来なくなったということで、それで、白い砂糖で始めたんだけど、あの~(麩菓子の)生地が白なんですよね。それで「白」と「白」じゃ合わないってことでピンク色に染めた・・・。」
N「作り方は生の※グルテンと小麦粉を混ぜたものに着色料を加え、よくこねます。さらに、長細く伸ばした生地を鉄板に敷いて焼き上げること11分。すると細かった生地が、(こんなに)大きく膨らむんです。そして、仕上げに「砂糖蜜」を塗り乾燥させれば出来上がり。ひとつひとつ手作業で作っているんです。」
※「グルテン」
「グルテン(gluten)は、小麦、大麦、ライ麦などの穀物の胚乳から生成されるタンパク質の一種。胚乳内の貯蔵タンパク質であるグリアジンとグルテニンを、水分の介在下で反応させると結びついてグルテンとなる。弾性を示すため、グルテン前駆体の2種のタンパク質を含む小麦粉を水でこねるとグルテンが生成され生地に粘りがでる。パン生地などが発酵した時に気泡が残るのも、生地がグルテンによって粘りをもっているためである。
小麦粉などグルテン前駆体を持つ穀物粉に水を加えてグルテンを生成させ、それを水で洗うと水溶性タンパク質やデンプン粒が流出するので、グルテン塊を分離することができる。」(「ウィキペディア フリー百科事典」より引用)
〇「さくら棒」を製造している「三島食品」伊丹社長
Q「現在、製造している会社は何社あるんでしょうか?」
伊丹社長「3社か4社だと思いますね。・・・将来的にも守っていきたいなという責任感はあります。」
N「そんな「さくら棒」も、今では「メロン味」や「バナナ味」など種類が増え、長さも80cmのものから食べやすいサイズのものまで様々あります。色や形は進化していますが、今も昔も子供達が大好きなお菓子であることに変りありません。」
〇店頭で「さくら棒」を頬張る男の子。
リポーター「こんなにいっぱい食べれる?」
男の子「食べれるよ~!」
N「静岡県民には大人気の「さくら棒」ですが、この味は東京でも受け入れられるのでしょうか?」
〇街頭のカップル
男性「いただきます。(一口食べて)黒糖の麩菓子よりも甘さ控え目って言うか・・・食べやすくておいしいですね。」
〇若い女性の2人組
女性「おもしろい。(お店に)あったら買うな。」
最終的な調査では、
〇「さくら棒」東京でも売れると思う?
「思う 79%」「思わない 21%」※都内100人アンケート
という結果でした。
すでに成人した私たちにも幼少時代があり、誰もが学校帰りに「駄菓子屋」によっては、夕食が食べれなくて母親に怒られた記憶があると思います。
「文學カヲル三嶋~青春ノ太宰治~」の取材で「三島」に訪れてから、その奥深さを知った筆者でしたが、今回の放送で改めて再認識させられました。
何度か取材に訪れ「三島通」を自称していた筆者でしたが・・・。知らなかったです。「さくら棒」。
筆者も幼少の頃は、よく駄菓子屋に行っていました。「麩菓子」のイメージはリポートにもあったように黒糖を使っている短いサイズのものでした。
「ピンク色」で全長が80cmもある「麩菓子」があるなんて・・・想像もつきませんでした。そのネーミング「さくら棒」も、はじめて聞きましたし表面にコーティングされている「糖蜜」が「黒糖」ではなく「白砂糖」だということも驚きです。
〇駄菓子の定番である「黒糖ふ菓子」について
「「株式会社トーカイフーズ」(岐阜県揖斐郡大野町五之里516-1)」のHPの商品紹介では「菓子麩は、焼麩と黒糖をミックスした、アルカリ食品です。麩の良質な小麦蛋白(グルテン)と、黒糖が持つビタミンB1・ビタミンB2・ミネラル・カルシウムなどが融合し、織りなす味わいは まさに絶品です。黒糖は、素早く消化吸収され、脳のエネルギーになります。体力 ・長寿 ・美容のために、お子様の成長を助ける おやつとして、自信をもって お勧めします。」とあります。
駄菓子としての「麩菓子」は、「子供の成長を助けるおやつ」という定義から表面に塗るものとして「黒糖」を使用しているのは、そこに要因があるようです。
今回は、地域限定「伝統の味を受け継ぐお菓子」「さくら棒」について調査してみることにしました。
放送を観ていて「さくら棒」を製造している伊丹社長の言葉に筆者は興味を惹かれました。インタビューのくだりで「将来的にも守っていきたいなという責任感はあります。」と言っておられた、この言葉。
早速、電話取材という形ではありましたが、その疑問を直接ぶつけてみました。突然の取材にも伊丹社長は快く応じてくださいました。
〇「責任感はあります。」そこには知られざる意外な秘話があったのです。
※ここからは、筆者が伊丹社長に直接取材した内容を再構成しています。
筆者「放送で言われていた「将来的にも守っていきたいなという責任感はあります。」についてですが・・・。」
伊丹社長「そのことですか・・・。」
話は・・・およそ15年前に戻ります。
伊丹社長が経営されている「「三島食品(株)」(三島市南二日町27-38)」は、市内でも有名な製麺会社でした。
しかし、当時「バブル崩壊(1990年以降)」の煽りを受け景気が低迷、年々、販売量が減少し売り上げは横ばい状態でした。(商品の販売価格が下がり、原材料などの製造コストが上がるなど利益幅が減少しているジリ貧状態でした。)
「このままでは「製麺」専業での事業の継続は難しい。」先行きに不安を抱えたまま新たな事業展開について考え倦(あぐ)ねる日々を過ごしていたそうです。
そんな中、
富士宮市(県東部地区)にあった「さくら棒」を製造していた老舗A製麩所のご主人が体調を崩して製造を中止するみたいだ。」ということを知人から聞くのです。
その話を聞いたとき、伊丹社長の心の中に「何か分からない。」が惹き付けられるものを感じたそうです。
元々、伊丹社長の出身地が同じ富士市(富士宮市とは隣接)ということもあり、天命に導かれるように製麩所のご主人に事業を引き継がせていただくよう交渉に赴きます。
その話を聞いたご主人は、伊丹社長が①「「麩菓子」の製造に関しては初心者であること。」②「製造に関して技術的に難しいこと。」などを説明されたそうです。
この話を聞いた奥様も、同じ粉ものを使った商品であるにせよ、製造に必要な機械や技術習得など沢山の課題があるなどの理由から反対されたそうです。
それでも伊丹社長は諦めませんでした。何度か交渉するうちに製麩所のご主人も伊丹社長の熱意と数奇な巡り合わせを感じ最終的には事業継承を承諾し製造に必要な機械一式を安価で譲ってくれたのです。
いよいよ「麩菓子」の製造となる訳ですが、ここからが試行錯誤の連続だったそうです。
製造に関する技術については、ひと通り取得したのですが、いざ、製品を作ってみると製麩所のご主人のものと自分のものには明らかに違いがありました。
何度も試作を重ねるうち、ご自身で納得できるものが出来たときは、正直、嬉しかったそうです。
伊丹社長曰く「丁度、「本業の事業継続への不安」と「麩菓子製造の技術継承」が同じ時期だったということは、やはり天命だったんじゃないでしょうか。当時は、本当に何かの力に導かれるように、がむしゃらでしたからね。私の体力が続く限りは、この伝統を守っていきたいと思っています。」
今も「さくら棒」という名称は変りませんが、現在では10種類(「さくら棒」「メロン」「バナナ」「イチゴ」「チョコ」「コーヒー」「ココア」「抹茶」「ミカン」「ぶどう」など)のバリエーションに増えました。
基本的には、「さくら棒」と同じく元となる生地に、それぞれのイメージカラーを出す為に、着色料を入れ棒の麩菓子として作ったあと、表面に塗る「糖蜜」に、それぞれのフレーバーを混ぜ合わせたものを塗ってから乾燥させて仕上げているのだそうです。
〇「さくら棒」の製造工程(「めざましどようび」の画像から引用)

「グルテンと小麦粉を混ぜ合わせます。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)

「着色料を加え、さらによくこねます。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)

「出来上がったものを切ります。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)


「生地を鉄板に敷き11分焼きます。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)


「さくら棒が焼き上がったところ。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)

「砂糖蜜を塗って乾燥させます。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)
よくテレビ番組でも紹介されますが、それぞれの地域に根ざした伝統的な食や工芸など修練を積まなければ技術習得や継承ができないものが沢山あります。そのような伝統技術は、それを伝える者と継承する者がいなければ途絶えてしまいます。
今回のように、いわば天命に導かれて伝統技術を継承した伊丹社長のようなケースは、全国には、まだまだ沢山あると思います。
最後に県民に親しまれている伝統の味「さくら棒」の起源について・・・「はたして最初に製造したのは、一体、誰なのか?」という疑問が残りますよね。
一説には「「さくら棒」のロングサイズを、はじめて製造したのは「栗山製麩所(掛川市横須賀926番地)」ではないかと言われています。
その誕生のきっかけになったのは、栗山さんが「何か珍しいお麩のお菓子はないものか」と試行錯誤した結果、現在のロングサイズの「さくら棒」が誕生しました。」とあります。
そこのところを伊丹社長にお聞きしたところ・・・
伊丹社長「私がA製麩所から「さくら棒」の技術を継承したのは、約15年前のこと。いわば、この業界では若輩者ですので詳しいことは分かりません。」とのこと。
今回、快く取材に応じていただいた伊丹社長に感謝いたします。
これは余談になりますが、ご自身、日頃の健康管理にジョギングを日課にされているそうで県内の主なマラソン大会にも数多く出場されているそうです。
機会があれば「さくら棒」の製造工程を取材させていただけるということなので、筆者も楽しみにしております。これからもご健康で伝統の味を作り続けていただきたいと思います。
資料
〇県内で製造している企業(確認できたところ)
①「佐藤製麩所」(浜松市西区舞阪町舞阪224)商品名「さくら棒」
②「栗山製麩所」(掛川市横須賀926番地)商品名「おいしん棒」「大吉茶ばしら」
③「麩屋久商店」(掛川市十九首18)
④「関根麩店」(静岡市葵区通車町3-12)商品名「焼麩ー桜ぼく」
⑤「三島食品(株)」(三島市南二日町27-38)商品名「さくら棒」(抹茶、チョコ、さくら、バナナ、みかん、ブドウ、メロン、いちご)
〇「静岡県外の長い「ふ菓子」(一例)」
「鬼の金棒」(「麩美商店」(岐阜県不破郡垂井町表佐1701))
「弁慶棒」(「栄山堂」(京都市東山区清水2丁目)
「福福棒(ふくふくぼう)」(「銭屋(ぜにや)」(伊勢市宇治中之切町おかげ横丁内)
「元祖 日本一長~い黒糖ふ菓子」(「松陸製菓」(埼玉県川越市元町2-11-6)
〇「静岡県外の短い「ふ菓子」(一例)」
「黒糖ふ菓子 ふーちゃん」(「敷島産業(株)」(岐阜県本巣市身延1339-2))
「黒糖味ふ菓子」(「(株)トーカイフーズ」(岐阜県揖斐郡大野町五之里516-1))
「黒糖ふ菓子」(「ローヤル製菓(株)」(岐阜県羽島郡岐南岐阜県羽島郡町平島6丁目103))
「たえちゃん」(「麩屋藤商店」(愛知県岡崎市柱1丁目6-7))
「黒砂糖ふ菓子」(「(株)やおきん」(東京都墨田区横川5-3-2 ))
「鍵屋のふ菓子」(「鍵屋製菓(有)」(東京都墨田区錦糸4-8-6))
めざましテレビの名物コーナー「ココ調」(7時12分~7寺23分放送)から
「東京では知られていない地元だけの人気グルメ」
今回は静岡県にスポットを当てていました。静岡と言えばB級グルメの宝庫として、毎年、開催されている「B-1グランプリ(2006年2月より)」などで「富士宮やきそば」が第1回、第2回大会を連覇するなど、今やその知名度は全国区となっています。(その他にも「静岡おでん」「浜松餃子」などが有名です。)
そんな中、番組では「東京でも食べたい大人気グルメとは!?」ということで、「ココ調」リポーターの立本信吾アナが調査に向います。
題して「シリーズ 地元だけ人気グルメ~静岡編~」
まずは、都内の街頭で都内在住の静岡県出身者100人に聞いた「地元の大人気グルメ は!?」
若い男性A「清水のもつカレーとか・・・おいしいと思いますよ。」
若い男性B「はんぺんフライだよね。やっぱり。」
若い女性A「さくら棒は定番です。」
静岡県出身者100人に聞いたところ・・・東京で食べたい静岡のグルメは?
1位「さくら棒」
2位「黒はんぺんフライ」
3位「もつカレー」
※都内在住 静岡県出身者100人アンケート
という結果に。
※3位「もつカレー」2位「黒はんぺんフライ」の部分は省略いたします。
〇街頭インタビュー
若い男性C「食べ切れないでお姉ちゃんに半分にして・・・はい。」
女性「うちでも売ってます駄菓子屋だから。」
街頭での「さくら棒」を知っていますか?」という質問に、
東京 「知らない 99%」「知っている 1%」※都内100人アンケート
静岡 「知っている 83%」「知らない 17%」※静岡県内100人アンケート
という結果が。
ということで立本信吾アナが向ったのは静岡県内の駄菓子問屋さん。
「駒形屋」(静岡県三島市東本町1-9-6)
応対してくれたのは、社長の駒形さん。
立本アナ「さくら棒はありますか?」
駒形社長「はい。・・・こちらです。」
立本アナ「あ!?これ!?ながっ!こんなに長いんですか?」
「さくら棒 400円」
N「実は「さくら棒」とはピンク色をした長い麩菓子のことなんです。一体、どれだけ長いのかといいますと・・・。」
立本アナ「80cmあります。・・・いただきます。」
「さくら棒」に噛り付く立本アナ。
立本アナ「中がフワフワなんですよ。非常に軽くてですね。食べたあとに甘さが広がりますね。口の中に。」
N「黒糖を使った一般的な麩菓子と違って、とてもド派手な「さくら棒」。一体、なぜこんな色をしているんでしょうか?」
駒形社長「沖縄からお砂糖(黒糖)が来てたんだけど、戦争でお砂糖が来なくなったということで、それで、白い砂糖で始めたんだけど、あの~(麩菓子の)生地が白なんですよね。それで「白」と「白」じゃ合わないってことでピンク色に染めた・・・。」
N「作り方は生の※グルテンと小麦粉を混ぜたものに着色料を加え、よくこねます。さらに、長細く伸ばした生地を鉄板に敷いて焼き上げること11分。すると細かった生地が、(こんなに)大きく膨らむんです。そして、仕上げに「砂糖蜜」を塗り乾燥させれば出来上がり。ひとつひとつ手作業で作っているんです。」
※「グルテン」
「グルテン(gluten)は、小麦、大麦、ライ麦などの穀物の胚乳から生成されるタンパク質の一種。胚乳内の貯蔵タンパク質であるグリアジンとグルテニンを、水分の介在下で反応させると結びついてグルテンとなる。弾性を示すため、グルテン前駆体の2種のタンパク質を含む小麦粉を水でこねるとグルテンが生成され生地に粘りがでる。パン生地などが発酵した時に気泡が残るのも、生地がグルテンによって粘りをもっているためである。
小麦粉などグルテン前駆体を持つ穀物粉に水を加えてグルテンを生成させ、それを水で洗うと水溶性タンパク質やデンプン粒が流出するので、グルテン塊を分離することができる。」(「ウィキペディア フリー百科事典」より引用)
〇「さくら棒」を製造している「三島食品」伊丹社長
Q「現在、製造している会社は何社あるんでしょうか?」
伊丹社長「3社か4社だと思いますね。・・・将来的にも守っていきたいなという責任感はあります。」
N「そんな「さくら棒」も、今では「メロン味」や「バナナ味」など種類が増え、長さも80cmのものから食べやすいサイズのものまで様々あります。色や形は進化していますが、今も昔も子供達が大好きなお菓子であることに変りありません。」
〇店頭で「さくら棒」を頬張る男の子。
リポーター「こんなにいっぱい食べれる?」
男の子「食べれるよ~!」
N「静岡県民には大人気の「さくら棒」ですが、この味は東京でも受け入れられるのでしょうか?」
〇街頭のカップル
男性「いただきます。(一口食べて)黒糖の麩菓子よりも甘さ控え目って言うか・・・食べやすくておいしいですね。」
〇若い女性の2人組
女性「おもしろい。(お店に)あったら買うな。」
最終的な調査では、
〇「さくら棒」東京でも売れると思う?
「思う 79%」「思わない 21%」※都内100人アンケート
という結果でした。
すでに成人した私たちにも幼少時代があり、誰もが学校帰りに「駄菓子屋」によっては、夕食が食べれなくて母親に怒られた記憶があると思います。
「文學カヲル三嶋~青春ノ太宰治~」の取材で「三島」に訪れてから、その奥深さを知った筆者でしたが、今回の放送で改めて再認識させられました。
何度か取材に訪れ「三島通」を自称していた筆者でしたが・・・。知らなかったです。「さくら棒」。
筆者も幼少の頃は、よく駄菓子屋に行っていました。「麩菓子」のイメージはリポートにもあったように黒糖を使っている短いサイズのものでした。
「ピンク色」で全長が80cmもある「麩菓子」があるなんて・・・想像もつきませんでした。そのネーミング「さくら棒」も、はじめて聞きましたし表面にコーティングされている「糖蜜」が「黒糖」ではなく「白砂糖」だということも驚きです。
〇駄菓子の定番である「黒糖ふ菓子」について
「「株式会社トーカイフーズ」(岐阜県揖斐郡大野町五之里516-1)」のHPの商品紹介では「菓子麩は、焼麩と黒糖をミックスした、アルカリ食品です。麩の良質な小麦蛋白(グルテン)と、黒糖が持つビタミンB1・ビタミンB2・ミネラル・カルシウムなどが融合し、織りなす味わいは まさに絶品です。黒糖は、素早く消化吸収され、脳のエネルギーになります。体力 ・長寿 ・美容のために、お子様の成長を助ける おやつとして、自信をもって お勧めします。」とあります。
駄菓子としての「麩菓子」は、「子供の成長を助けるおやつ」という定義から表面に塗るものとして「黒糖」を使用しているのは、そこに要因があるようです。
今回は、地域限定「伝統の味を受け継ぐお菓子」「さくら棒」について調査してみることにしました。
放送を観ていて「さくら棒」を製造している伊丹社長の言葉に筆者は興味を惹かれました。インタビューのくだりで「将来的にも守っていきたいなという責任感はあります。」と言っておられた、この言葉。
早速、電話取材という形ではありましたが、その疑問を直接ぶつけてみました。突然の取材にも伊丹社長は快く応じてくださいました。
〇「責任感はあります。」そこには知られざる意外な秘話があったのです。
※ここからは、筆者が伊丹社長に直接取材した内容を再構成しています。
筆者「放送で言われていた「将来的にも守っていきたいなという責任感はあります。」についてですが・・・。」
伊丹社長「そのことですか・・・。」
話は・・・およそ15年前に戻ります。
伊丹社長が経営されている「「三島食品(株)」(三島市南二日町27-38)」は、市内でも有名な製麺会社でした。
しかし、当時「バブル崩壊(1990年以降)」の煽りを受け景気が低迷、年々、販売量が減少し売り上げは横ばい状態でした。(商品の販売価格が下がり、原材料などの製造コストが上がるなど利益幅が減少しているジリ貧状態でした。)
「このままでは「製麺」専業での事業の継続は難しい。」先行きに不安を抱えたまま新たな事業展開について考え倦(あぐ)ねる日々を過ごしていたそうです。
そんな中、
富士宮市(県東部地区)にあった「さくら棒」を製造していた老舗A製麩所のご主人が体調を崩して製造を中止するみたいだ。」ということを知人から聞くのです。
その話を聞いたとき、伊丹社長の心の中に「何か分からない。」が惹き付けられるものを感じたそうです。
元々、伊丹社長の出身地が同じ富士市(富士宮市とは隣接)ということもあり、天命に導かれるように製麩所のご主人に事業を引き継がせていただくよう交渉に赴きます。
その話を聞いたご主人は、伊丹社長が①「「麩菓子」の製造に関しては初心者であること。」②「製造に関して技術的に難しいこと。」などを説明されたそうです。
この話を聞いた奥様も、同じ粉ものを使った商品であるにせよ、製造に必要な機械や技術習得など沢山の課題があるなどの理由から反対されたそうです。
それでも伊丹社長は諦めませんでした。何度か交渉するうちに製麩所のご主人も伊丹社長の熱意と数奇な巡り合わせを感じ最終的には事業継承を承諾し製造に必要な機械一式を安価で譲ってくれたのです。
いよいよ「麩菓子」の製造となる訳ですが、ここからが試行錯誤の連続だったそうです。
製造に関する技術については、ひと通り取得したのですが、いざ、製品を作ってみると製麩所のご主人のものと自分のものには明らかに違いがありました。
何度も試作を重ねるうち、ご自身で納得できるものが出来たときは、正直、嬉しかったそうです。
伊丹社長曰く「丁度、「本業の事業継続への不安」と「麩菓子製造の技術継承」が同じ時期だったということは、やはり天命だったんじゃないでしょうか。当時は、本当に何かの力に導かれるように、がむしゃらでしたからね。私の体力が続く限りは、この伝統を守っていきたいと思っています。」
今も「さくら棒」という名称は変りませんが、現在では10種類(「さくら棒」「メロン」「バナナ」「イチゴ」「チョコ」「コーヒー」「ココア」「抹茶」「ミカン」「ぶどう」など)のバリエーションに増えました。
基本的には、「さくら棒」と同じく元となる生地に、それぞれのイメージカラーを出す為に、着色料を入れ棒の麩菓子として作ったあと、表面に塗る「糖蜜」に、それぞれのフレーバーを混ぜ合わせたものを塗ってから乾燥させて仕上げているのだそうです。
〇「さくら棒」の製造工程(「めざましどようび」の画像から引用)

「グルテンと小麦粉を混ぜ合わせます。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)

「着色料を加え、さらによくこねます。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)

「出来上がったものを切ります。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)


「生地を鉄板に敷き11分焼きます。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)


「さくら棒が焼き上がったところ。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)

「砂糖蜜を塗って乾燥させます。」(「めざましどようび」2010年9月11日(土)放送から引用)
よくテレビ番組でも紹介されますが、それぞれの地域に根ざした伝統的な食や工芸など修練を積まなければ技術習得や継承ができないものが沢山あります。そのような伝統技術は、それを伝える者と継承する者がいなければ途絶えてしまいます。
今回のように、いわば天命に導かれて伝統技術を継承した伊丹社長のようなケースは、全国には、まだまだ沢山あると思います。
最後に県民に親しまれている伝統の味「さくら棒」の起源について・・・「はたして最初に製造したのは、一体、誰なのか?」という疑問が残りますよね。
一説には「「さくら棒」のロングサイズを、はじめて製造したのは「栗山製麩所(掛川市横須賀926番地)」ではないかと言われています。
その誕生のきっかけになったのは、栗山さんが「何か珍しいお麩のお菓子はないものか」と試行錯誤した結果、現在のロングサイズの「さくら棒」が誕生しました。」とあります。
そこのところを伊丹社長にお聞きしたところ・・・
伊丹社長「私がA製麩所から「さくら棒」の技術を継承したのは、約15年前のこと。いわば、この業界では若輩者ですので詳しいことは分かりません。」とのこと。
今回、快く取材に応じていただいた伊丹社長に感謝いたします。
これは余談になりますが、ご自身、日頃の健康管理にジョギングを日課にされているそうで県内の主なマラソン大会にも数多く出場されているそうです。
機会があれば「さくら棒」の製造工程を取材させていただけるということなので、筆者も楽しみにしております。これからもご健康で伝統の味を作り続けていただきたいと思います。
資料
〇県内で製造している企業(確認できたところ)
①「佐藤製麩所」(浜松市西区舞阪町舞阪224)商品名「さくら棒」
②「栗山製麩所」(掛川市横須賀926番地)商品名「おいしん棒」「大吉茶ばしら」
③「麩屋久商店」(掛川市十九首18)
④「関根麩店」(静岡市葵区通車町3-12)商品名「焼麩ー桜ぼく」
⑤「三島食品(株)」(三島市南二日町27-38)商品名「さくら棒」(抹茶、チョコ、さくら、バナナ、みかん、ブドウ、メロン、いちご)
〇「静岡県外の長い「ふ菓子」(一例)」
「鬼の金棒」(「麩美商店」(岐阜県不破郡垂井町表佐1701))
「弁慶棒」(「栄山堂」(京都市東山区清水2丁目)
「福福棒(ふくふくぼう)」(「銭屋(ぜにや)」(伊勢市宇治中之切町おかげ横丁内)
「元祖 日本一長~い黒糖ふ菓子」(「松陸製菓」(埼玉県川越市元町2-11-6)
〇「静岡県外の短い「ふ菓子」(一例)」
「黒糖ふ菓子 ふーちゃん」(「敷島産業(株)」(岐阜県本巣市身延1339-2))
「黒糖味ふ菓子」(「(株)トーカイフーズ」(岐阜県揖斐郡大野町五之里516-1))
「黒糖ふ菓子」(「ローヤル製菓(株)」(岐阜県羽島郡岐南岐阜県羽島郡町平島6丁目103))
「たえちゃん」(「麩屋藤商店」(愛知県岡崎市柱1丁目6-7))
「黒砂糖ふ菓子」(「(株)やおきん」(東京都墨田区横川5-3-2 ))
「鍵屋のふ菓子」(「鍵屋製菓(有)」(東京都墨田区錦糸4-8-6))
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智太郎
先週土曜9/25に靜岡県東部地方の御殿場市の「御殿場高原ビール」へ行って満喫できた日記を紹介したく思い愉快な記事にしました。(洒落た敷地内には「富士宮やきそば」の屋台もあり、貼ってます・・)いつもの"おもしろ写真"では「ガーデニングで用いられる色鮮やかな花の風車(かざぐるま)」「台風の影響でも北西側にかくかに見えた富士山」「無邪気な姉妹幼児達が空に舞い上がるようかにはしゃいでいる写真」「まだ設置されてた気になった子供の七夕の短冊「願い事」」「レストラン店内でイルミネーション風電飾に癒された写真」「笑顔が素敵で綺麗なウエイトレスのカツマ○さん」「ドイツ伝統のビール製法の多くのビール」「美味しかった多くのグルメ写真」等々を貼ってみたのです。・・(*^_^*)トラックバックをさせて戴きとう思っております。<m(__)m>
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